友達は先に帰って、私は人を待ってた。椅子に腰掛けて、音楽を聴きながら、肘をついて可愛く待ってた。外は暗くて、窓に映った自分を見ながら、前髪変じゃないかなって整えたりして待ってた。聴いていた曲はSEKAI NO OWARIの「花鳥風月」。その部屋はとても寒くて、マフラーを巻いてた。その人は待っても待っても来なくて、いつ来るのかなぁって。私はいつの間にか突っ伏して寝てた。そしたら頭を撫でられる感触がして目が覚めたんだ。好きな人が頭を撫でて起こしてくれた。わぁびっくりしたぁって言って起きた。おしゃべりして、帰りに「マフラーの後ろ結んでください」って言って結んでもらった。
いつかの冬の話。
でもこの話は、作られた偶然 によって過ごせた時間。
友達が先に帰ったんじゃなくて、先に帰るまで待ってた。なんとか二人きりになりたかったから、友達には帰ってほしくて、帰るまで待ってた。
突っ伏していつの間にか寝てたのも嘘。きっと好きな人が起こしてくれる、きっと触れて起こしてもらえるって思ったから、寝たふりしてた。
起こされた時、びっくりしたぁって口から出たのも嘘。全然びっくりしてない、ドキドキしてた。
ぶきっちょなふりして、「マフラーの後ろ結んでください」って言ったのも嘘。私器用だから、マフラーの後ろなんて簡単に結べる。でも結んで欲しかった。
全部作られた偶然だった。
花鳥風月聴いてたら思い出した、冬の話です。
冬って嘘つきの季節。