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もうやめま賞

数年前の私は、ずっとその人のことが好きだった。数々の賞を総なめにするほどの才能溢れる画家の男性。まあ、のちにとんでもないクズ男だということに気付くんだけど。

 

高校を卒業してからは、恋人(当時の)という存在があったけど、胸の奥底ではずっとまだその人のことが好きだった。彼を思い始めてから数年経ち、二、三年ぶりに再会して、そこから二年に一回とか、一年に一回とか、二回とか、会う機会が徐々に増えていった。

そして、会う回数が増えるたびに、(詳細は特に書かないが)、なんてクズ男なんだ...と段々目が覚めていった。

 

ほら〜、恋は盲目 とか言うじゃないですか?

まさにそれだった気がする。

 

昨日は急きょ、大きな展覧会に出した絵が賞を貰ったとかで、授賞式のために上京してきていた。私に時間があってもなくても、互いの時間が合っても合わなくても、そもそも整形後のDT中だから会うつもりなどさらさらなかったけど、色々あって結局会った。(あったやら合ったやら会ったでややこしいね。)

次の日の授賞式で履くための靴を忘れてきたらしく、一緒に靴を見に行って靴下からベルトから靴までの三点セットを私が見繕った。その時突然、「...胸こんなに大きかったっけ?もしかして妊娠してないよね?」と言われた。

何いきなり。鳥肌。

 

これから絵描き仲間と食事に行くと言うので、傘持ってないでしょ、これ使ってくださいと半ば強引に傘を渡してから改札内へ押し込み、早く行ってしまえと思いながら手を振った。さよならさよなら。私は確かにあなたが好きだったけど、今は別にもうどうでもいいの。

 

このことを数年前の私が知ったら泣いて喜ぶだろう。

あんた今、好きな人と一緒に好きな人の靴選んでるよ、って教えてあげたい。

 

 

ま、悪い男性ってなんかちょっと魅力的に見えるよね。とは思う。

 

それと同時に、私も悪い人間だったな、と反省する。